複眼で見る中東報道


中東地域の報道を通し、国際社会の現状を複眼的に考えよう(地球村研究所)。研究所所長の 「水口章:国際・社会の未来へのまなざし」(http://blogs.yahoo.co.jp/cigvi2006)もご参照ください。
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<   2006年 02月 ( 28 )   > この月の画像一覧


EUのパレスチナ支援が生み出すもの

<注目ヘッドライン-電子版より>
●2月28日付エルサレム・ポスト「IAEA:イランはウラン濃縮プログラムを継続」
●2月28日付タイムズ・オブ・オマーン「IAEA:イランは3000の遠心分離機を建設計画」
●2月27日付IRNA「イラン大統領がクウェイト訪問」
●2月27日付アルジャジーラ「米国はイランの核交渉に懐疑の目」
●2月27日付ハーレツ「イランは4月に反イスラエル会議を開催予定」
●2月28日付アルジャジーラ「イラクは日中の外出禁止令を解除」
●2月27日付ガルフ・ニュース「バグダードの生活は平常に戻る」
●2月28日付ヨルダン・タイムズ「聖廟危機はザルカウィーを有利にした」
●2月27日付トルコ・デイリー・ニュース「トルコはイラクの緊張緩和のための会合を主催予定」
●2月27日付エルサレム・ポスト「EUがPA支援に1億4300万ドル提供で合意」
●2月27日付シャルクル・アウサト「サウジはイエメンとの国境警備を強化」
●2月28日付アラブ・ニュース「バハレーンでのサマラの聖廟爆破への抗議が継続」
●2月27日付アルジャジーラ「ラフード大統領が追い落とし計画に外国が関与と非難」
●2月28日ヨルダン・タイムズ「アラブ議会連盟がアラブ諸国に反テロ合意の批准を呼びかけ」

上記より、次の記事を取り上げる。
2月27日付エルサレム・ポスト「EUがPA支援に1億4300万ドル提供で合意」を読んで:
パレスチナの次期首相ハニヤ氏は、ヨルダン川西岸からのイスラエルの撤退、エルサレムを首都とするパレスチナ国家の樹立容認、収監中の政治犯の釈放などを条件に、イスラエルの承認の可能性について述べた。これらの条件は非現実的であり、国際社会のハマスへの評価を大きく変えるものではない。その中で、EUはPAの経済的混乱をさけるために1億4300万ドルの資金援助を決定した。本記事では、支援はPAの電気などの公共事業に4800万ドル、保健・教育プロジェクトに7600万ドル、公務員の給与支払いに2100万ドル(記事のママ)との内訳を紹介している。
今回のEUの資金援助の目的は、EUの報道官によると、長年の交渉相手としてきたアッバス議長を支援することである。本記事によると、この決定はEU単独のものではなく、国連、米国、ロシアとの協議を踏まえたものである。そのきっかけは、イランがハマスに資金提供を行う(エルサレム・ポストの別の記事では2億5000万ドル提供)ことで、欧米諸国の中東和平への影響力が減退することを懸念したことによる。このような政治的な思惑によるものではあっても、パレスチナの人々にとっては、一息つける貴重な援助である。彼らが、国際社会の関心がまだ失われていないことを確認できたことで、パレスチナ内の対立から対話へのステップを踏み出す契機となるのではないだろうか。

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by cigvi | 2006-02-28 21:09 | 国際政治

イラクの武力対立は誰vs誰?

<注目ヘッドライン-電子版より>
●2月27日付アルジャジーラ「イランとロシアが核交渉で合意」
●2月27日付デイリー・スター「イラク政府はアスカリヤ聖廟爆破容疑者10人を逮捕」
●2月27日付アラブ・ニュース「アスカリヤ聖廟爆破の抗議でテヘランのイギリス大使館を攻撃」
●2月27日付アルジャジーラ「アブカイク石油施設襲撃容疑者をリヤドで殺害」
●2月27日付ハーレツ「米国がイスラエルに武器輸出の見直しを要求」
●2月27日付アラブ・ニュース「UAE企業は港湾交渉で治安リスクの再調査に同意」
●2月27日付アラブ・ニュース「バシール大統領:ダルフールに入れば外国軍の墓場となる」
●2月27日付アルジャジーラ「西サハラ独立闘争の30周年」
●2月26日付シャルクル・アウサト「アフガンのタリバン、アルカイダ囚人が暴動」

上記より、次の記事を取り上げる。
2月27日付デイリー・スター「イラク政府はアスカリヤ聖廟爆破容疑者10人を逮捕」を読んで:
本記事のポイントは、第一に、イラク治安アドバイザーのルバイエ氏がアスカリヤ聖廟爆破容疑者10人を逮捕していると述べたことである。第二は、シーア派のイラク・イスラム革命評議会(SCIRI)の高官が、武装対立は危険な時期をやり過ごした、治安は80%安定していると発言したことである。これらのことから、移行政権やシーア派とスンニー派アラブの指導者たちが、武装対立の中で、落ち着いて事態に対応している様子が伺われる。
その一方、本記事ではグリーンストック前駐イラク英国大使が、紛争下で人権侵害が起きている旨言及したことが紹介されている。同大使は、イラクのいくつかの地域では、多数派社会集団の人々による少数派社会集団への迫害、排除が行われており、民族浄化の要素があると分析している。そうした事実があるならば、多民族多宗教の脆弱国家であるイラクでも、旧ユーゴやアフガニスタンの例に見るように、平和構築後も国民融和にはかなりの時間がかかるだろう。しかし、ここで注意しておかねばならないのは、紛争下では、同一民族、同一宗教・宗派内での勢力争いも起きており、民族浄化を装って犯行を行うケースもよく見られることだ。今回もそのような痕跡はないのだろうか?

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by cigvi | 2006-02-27 20:06 | 国際政治

イラク内戦の危機:米国は必死

<注目ヘッドライン-電子版より>
●2月26日付エルサレム・ポスト「米国とEUは支援中止の脅しを撤回」
●2月25日付イェデオト・アハロノト「ハマス指導者ハニヤ氏:イスラエルを海に落としたいわけではないと述べる」
●2月25日付イェデオト・アハロノト「アッバス議長:政策に関与できないならば辞職するつもりと述べる」
●2月26日付アルジャジーラ「イラクの指導者たちが内戦回避に向け団結」
●2月23日-3月1日アハラム・ウィークリーNo.783「アスカリヤ聖地爆破後」
●2月26日付イラン・デイリー「ロシア:イランの核問題は解決の可能性がある」
●2月25日付タイムズ・オブ・オマーン「イランと中国が石油取引に調印予定」
●2月26日付ハーレツ「レバノンがヒズボラへの武器移送を許可」
●2月25日付ガルフ・ニュース「ムバラク大統領が湾岸訪問に出発」
●2月26日付アラブ・ニュース「レバノンは米国の容疑者引渡し要求を拒否」

上記より、次の記事を取り上げる。
2月26日付アルジャジーラ「イラクの指導者たちが内戦回避に向け団結」を読んで
本記事では、2月25日、ジャアファリ首相がクルドとスンニー派の指導者と共に、国営テレビでイラク国民に団結してテロと戦うよう呼びかけたことを紹介している。また、ムクタダ・サドルもスンニー派指導者と会合を持ち、同氏のマフディー軍がスンニー派モスク攻撃に関与していないことを表明するとともに、ムスリムの団結を呼びかけたと報じている。2月25日には、イラクのドレイミ国防相は、「もし内戦がこの国で起きれば、決して終わることはないだろう」と内戦のリスクについて警告を発しており、より早期のアスカリヤ聖廟の爆破グループや一連のスンニー派への報復攻撃の犯人グループの特定が望まれる。
この武力対立について、ブッシュ大統領はイラクの政治指導者の協力を訴えており、ハリルザード駐イラク大使も現地でシーア派指導者にスンニー派指導者との組閣協議を実施するよう圧力をかけている。米国は、この危機を、犯人捜査への協力と共に新政権樹立によって打開しようとする方針を立てているように見える。今年の11月の米中間選挙を前に、米軍の撤退を含めイラク問題において成果を挙げられるかどうか、正念場である。また、この結果が、中東和平や対イランなどの米国の中東政策、そして反テロ戦争に大きく影響することは確かなようだ。

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by cigvi | 2006-02-26 22:58 | 国際政治

パレスチナ自治政府の財政状況:ハマスでなくても大変

<注目ヘッドライン-電子版より>
●2月22日付ミドル・イースト・タイムズ「ハマスの台頭がPAの財政を空っぽにする」
●2月24日付イェデオト・アハロノト「アッバス議長はEUの資金を獲得できるか?」
●2月25日付デイリー・スター「ライス長官は反核で同調を得たが、ハマスの孤立化には失敗」
●2月24日付シャルクル・アウサト「ハーキム師がスンニー派とシーア派の結束を呼びかけ」
●2月25日付アラブ・ニュース「メッカのイマームがイラク人に平静を呼びかけ」
●2月25日付デイリー・スター「IAEA、ロシア、中国がイラン核問題に力を注ぐ」
●2月24日付シャルクル・アウサト「サウジ東部の大規模石油処理施設で自爆攻撃」

上記より、次の記事を取り上げる。
2月22日付ミドル・イースト・タイムズ「ハマスの台頭がPAの財政を空っぽにする」を読んで:
本記事では、パレスチナの臨時財務相ワジル氏等がPAの財政状況について指摘したことを紹介している。PAは、公的支出の増大で、2005年でも財政赤字が8000万ドルに及んでいる。仮に援助が止まると、財政は一層深刻な状況に陥る。ワジル氏は、イスラエルが税金・関税収入(5000万ドル)の移転を停止したことで、パレスチナ自治政府の14万人の人件費(毎月9000万ドル)の支給遅延が起こることとなり、暴力を助長する恐れがあると述べている。
また、本記事では、地方財政の専門家シャアバン氏の分析として、自治政府が年間20億ドル以上の過大支出を続け、不足分を外国からの支援に依存する状況となっていると紹介している。この悪化している財政改革には長期的な視野が必要であり、ハマスが掲げる短期的な視野での農業、教育、保健分野では大きな成果は期待できないとしている。そして、同氏は海外で運用しているパレスチナ投資ファンド15億ドルの国内活用や、財政・行政改革プランの必要性に言及している。
現在、米国、EUは、ハマスが(1)イスラエル承認、(2)武装放棄、(3)過去の合意の履行の3条件を認めなければ支援を停止する旨を表明しており、自治政府は、米国の4億7000万ドル、EUの6億ドルの年間援助を失う恐れがある。その中、2月24日付イェデオト・アハロノトは、ソラナEU外交政策委員長が、ハマスの関与なしでのアッバース議長への資金援助を模索し始めていると報じている。また、国連のデソト中東特別大使は、関係国の支援停止が自治政府の崩壊を招くとの懸念を持っており、そのことについて近く安保理で報告を行う予定である。
それにしても、11年間の自治政府の行政腐敗や改革の停滞が新政権へのあまりにも大きな負の遺産となっていることは確かである。

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by cigvi | 2006-02-25 22:47 | 国際政治

ライス米国務長官の出したシリアへのサインは?

<注目ヘッドライン-電子版より>
●2月24日付アラブ・ニュース「イラクは派閥対立の最中へ」
●2月23日付アラブ・ニュース「サウジは米国のハマス孤立化計画を拒否」
●2月24日付ハーレツ「ハマスは武装組織のイスラエル攻撃を支援」
●2月24日付デイリー・スター「ライス国務長官がレバノンを訪問、3月14日団体の支援を明言」
●2月24日付アラブ・ニュース「米国がイエメンにイスラム法学者の逮捕を要請」
●2月24日付デイリー・スター「国連はトルコの反テロ法は修正すべきと勧告」
●2月24日付アラブ・ニュース「ドイツでコーランへの侮辱に対し懲役1年の判決」

以上の中から、次の記事を取り上げる。
2月24日付デイリー・スター「ライス国務長官がレバノンを訪問、3月14日団体の支援を明言」を読んで:
本記事では、ライス米国務長官の突然のレバノン訪問(この5ヶ月で2回目)を紹介している。同長官の訪問目的は、(1)レバノン政府への支援、(2)国連安保理決議1559の履行推進、(3)ハリーリ前首相への殺害関与がうわさされるラフード大統領への圧力である。また、本記事では、ライス長官が「誰がこの国を統治するかはレバノン人が決めることだ」、「後退ではなく前進する大統領、レバノンの尊厳を守る大統領」が必要だと述べたと紹介している。
このような表面的な目的の他に、イラク問題や中東和平、イラン問題におけるキーパーソンであるシリアのバッシャール大統領への圧力がある。レバノンの安定にはヒズボラの武装解除が必要である。また、パレスチナの安定においてもハマスの武装解除が必要である。今回のライス長官のレバノン訪問は、この両組織に深く関わるシリアとの暗黙の駆け引きの一環と思われる。シリアはどのようなサインを受け取ったのだろうか。

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by cigvi | 2006-02-24 18:11 | 国際政治

聖戦テロ・ネットワークの脅威とイスラエル

<注目ヘッドライン-電子版より>
●2月23日付シャルクル・アウサト「シーア派モスクへの攻撃後、スンニー派への攻撃増大」
●2月22日付シャルクル・アウサト「ライス長官、エジプトへは友人として訪問したと述べた」
●2月23日付アラブ・ニュース「アブドラ・サウジ国王とライス長官が会談」
●2月22日付アルジャジーラ「ハマスとファタハは合意点を協議中」
●2月23日付イェデオト・アハロノト「今年、アルカイダが対イスラエル・テロを行うと治安当局が予測」
●2月22日付イラン・デイリー「プーチンが核協議は簡単ではないと述べる」
●2月23日付アラブ・ニュース「イラン・パキスタン・インド・パイプライン計画が難航」
●2月23日付トルコ・デイリー・ニュース「トルコとイランが反テロ行動で協力に合意」
●2月23日付トルコ・デイリー・ニュース「欧州人権裁判所が“ケマリズム”非難は犯罪ではないと判決」

以上の中から、次の記事を取り上げる。
2月23日付イェデオト・アハロノト「今年、アルカイダが対イスラエル・テロを行うと治安当局が予測」を読んで:
1月19日、アルジャジーラがアルカイダのビンラーディンの声明の一部を放送した(2月20日、「アルサハブ」がインターネットで全文を公開)。これを受け、CIAが音声分析を実施し本人と確認すると共に、米国内でテロの可能性があると警告した。本記事でも、イスラエルへの聖戦武装勢力によるテロの可能性が高まっていることについて報じている。
その理由として、ザルカウィーが対イスラエル攻撃を宣言している点、エジプト、ヨルダン、レバノンなど周辺国でのテロの発生等を挙げている。この変化は、イスラエル治安関係者の分析では、アルカイダの中でのビンラーディンの地位が低下し、ザワヒリ勢力が台頭しているためだと指摘されている。この指摘は、ザワヒリ(エジプト)やザルカウィー(ヨルダン)がパレスチナ解放運動と深く関わる国の出身者であることを考慮してのことだろう。さらに、攻撃基地についても、ザルカウィーはシリアをイラクに向かうテロリストの拠点としているだけでなく、ヨルダンやイスラエルの攻撃拠点となりつつあると分析している。武装聖戦グループが、レバノン、ヨルダンを基地(難民キャンプを利用)としている点は、2月22日のイスラエル軍の分析でも指摘されている。このように、イスラエルはパレスチナにおけるハマスの台頭とそれを支援するシリアやイラン、そしてアルカイダを「聖戦テロ・ネットワーク」とみなし、テロへの危機管理行っている。

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by cigvi | 2006-02-23 23:04 | 国際政治

サウジ諮問評議会の限界

<注目ヘッドライン―電子版より>
●2月22日付ヨルダン・タイムズ「エジプトは米国にハマスに時間を与えるよう要求」
●2月21日付シャルクル・アウサト「ハマスはアラブ諸国に米国のハマス孤立化要求に従わないよう要請」
●2月21日付シャルクル・アウサト「米大使、イラクの指導者たちに治安部隊の中立性を要求」
●2月21日付シャルクル・アウサト「サウジ諮問評議会は女性の運転問題の協議を拒否」
●2月21日付ガルフ・タイムズ「コストの高騰が湾岸のエネルギー・プロジェクトに打撃」
●2月22日付デイリー・スター「シリアからレバノンへのガス・パイプラインは来年開設予定」
●2月22日付ガルフ・ニュース「OICはEUにイスラム保護法を要請」

以上の中から、次の記事を取り上げる。
2月21日付シャルクル・アウサト「サウジ諮問評議会は女性の運転問題の協議を拒否」を読んで:
サウジの女性の運転許可問題はここ数年議論が続けられており、2005年10月、アブドラ国王がテレビのインタビューで、女性が運転する日がいつか来るだろうと語っている。しかし、同国王は、国民が受け入れられないことは何であれ実行することは不可能であるとも述べた。本記事では、ハリル・アルハリル博士(諮問評議会メンバー)が、同評議会がこの問題を協議しないことは社会発展の必要性と社会ニーズに応えることを自ら切り離したことを意味すると語り、さらに、問題に助言的に幅広く対面することが望ましいと指摘したことを紹介している。
同問題に関しては、イスラム法学者をはじめ伝統的価値を守ろうとする人々と、新しい生活スタイルを求める人々とが対立している。伝統的価値を守ろうとする人々の中には、イスラムを持ち出し運転許可問題を否定する状況も見られる。しかし、コーランやスンナには女性の運転を否定する箇所はない。
ここで問題となる女性の人権は、西洋社会においては多様な価値観が存在することを認め、仮に価値観が対立した場合、十分に協議を行い、相互に価値観を変容させるというプロセスを経て生れてきたものである。サウジ諮問評議会メンバーはエリート層(知識者)で、十分に理性的議論ができる能力を有している。しかし、女性の運転許可問題を同評議会が審議しにくいのは、サウジ社会を二分する問題であるため、評議会メンバー個々人がこの問題に正面から向き合おうとしないからだろう。ここに、政党政治との違いがあるのではないだろうか。

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by cigvi | 2006-02-22 22:07

イランの天然ガス開発も政治しだい

<注目ヘッドライン-電子版より>
●2月21日付イェデオト・アハロノト「ロシアがPAへの緊急援助を提案」
●2月21日付デイリー・スター「アラブとイスラムの指導者達がイスラエル保留のPA資金の埋め合わせを模索」
●2月21日付バハレーン・トリビューン「シリアがテロ容疑者をモロッコに引渡し」
●2月21日付アラブ・ニュース「サウジ女性が東部州商工会議所で初投票」
●2月21日付ガルフ・ニュース「UAE閣僚は財政および行政の自由を獲得」
●2月21日付クウェイトタイムズ「ナワフの首長後継が確定」
●2月21日付アラブ・ニュース「イラクのカルバラ市長が米軍との協力を棚上げ」
●2月20日付アルジャジーラ「エジプトでイスラムとコプトの小競り合いで8人けが」
●2月20日付イラン・デイリー「欧州はイランのガスに着眼」
●2月20日付トルコ・デイリー・ニュース「イラン警察がPKK支援者と衝突」

上記の中から以下を取り上げる。
2月20日付イラン・デイリー電子版「欧州はイランのガスに着眼」を読んで:
同記事では、EUがイランからの天然ガス供給に関心を持っているが、イランの核開発問題が解決しない限りエネルギー協力は進められないとの姿勢を示したと報じている。
イランは日量2500万立方メートルのサウス・パースガス田に次いで、最近、湾岸の島で大天然ガス田を発見したと発表した。しかし、新規顧客の確保に苦しんでいるもようである。パキスタン経由でのインドまでのパイプラインは協議中であるが、現在のところ未着手である。これに対しEUは、北海ガス田で需要の63%を調達し、パイプラインでアルジェリアとロシアからの供給も受けている。しかし、EUは、この冬にロシアの天然ガス供給がウクライナとの政治問題で中断されされたことに危機感を強めている。また、2020年には年間5億トンの需要が見込まれている。このため供給源の多様化を必要としており、カスピ海地域、北アフリカ地域、中東地域での新規プロジェクトに関心を寄せている。
世界的にクリーン・エネルギーとして天然ガスが注目されている。天然ガスは、石油よりも地域的な偏在性は少ないものの、効率の良い開発投資先が常に求められている。この点から見ればイランは有望とみなされている。国際社会からの多くの投資を呼び込むには、政治環境の変化が必要なのである。

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by cigvi | 2006-02-21 23:32 | 国際経済

国民国家イラク誕生へのハードルは続く

<注目ヘッドライン>
●2月20日付アラブ・ニューズ電子版「ムクタダ・サドルが憲法拒否」
●2月20日付ヨルダン・タイムズ電子版「イラクの各党は政権協議で対立」
●2月20日付ヨルダン・タイムズ電子版「バドル旅団が無秩序に関し米を非難」
●2月20日付エルサレム・ポスト電子版「ハマスはイラン資金受諾」
●2月20日付イェデオット・アハロノト電子版「プーチン:ハマス外交団に会うつもりはない」
●2月20日付ヨルダン・タイムズ電子版「アラブはハマスを孤立させない」
●2月20日付エルサレム・ポスト電子版「独占記事:米国はイラン攻撃の可能性に備えてグルジアの支援を求める」

本日は以下の記事を取り上げる。
2月20日付ヨルダン・タイムズ電子版「イラクの各党は政権協議で対立」、および2月20日付アラブ・ニューズ電子版「ムクタダ・サドルが憲法拒否」を読んで:
イラク問題では、3月末、陸上自衛隊の600人の撤収が開始されるとの報道が流れる中、撤収条件の一つとしての新政権の樹立が難航し始めているようだ。
ヨルダン・タイムズでは、シーア派とクルドの政策調整が挫折しつつあると報じている。そのポイントは、クルド同盟が提案した、政府活動を監視する審議会の設置や、閣議決定方法における合意の重視(多数決に不満)を、シーア派が拒否していることだ。また、シーア派はクルド同盟とアラウィー元首相の世俗グループ(スンニー派との議会内会派形成を発表)との連帯が強まることに警戒心を持っており、慎重に議論を進めている。
さらに、アラブ・ニューズは、2月16日からヨルダンを訪問していたイラクのシーア派のムクタダ・サドル氏(反米、議会内で32議席獲得)が、18日にアルジャジーラ・テレビで「私は派閥主義的憲法を拒否する」と語り、連邦制を否定した旨を報じている。
イラクの政治プロセスが現実的利害対立の局面を迎え、組閣や憲法修正などでの厳しい対立が見られ始めているようだ。一方、治安面でも、治安部隊に武装勢力の侵入が見られている点、内務省と国防省の協力体制の不備等があり、未だ着実に成果を上げられていないとの指摘もある。
ヨルダンのアブドラ国王が語った「イラクの統一・国民のための良い未来を熱望する」との言葉は、国際社会の願いでもある。

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by cigvi | 2006-02-20 23:10 | 国際政治

イギリス新反テロ法:やはり一国では無理?

2006年2月18日付シャルクル・アウサト電子版「イギリス:新反テロ法によってイスラム原理主義・ネットワークが地下活動に入るのを後押しするだろう」を読んで:
本記事では、イギリスの新反テロ法は、同国のムスリム社会で活動しているHizb ul-Tahrir(イスラム解放党と訳されている)や、Al-Ghurabaのようなイスラム原理主義者の組織・政党の禁止を望んでいると報じている。また、この法案は金曜の説教も対象となり、礼拝指導者に口輪をはめることを意味するだろうと危惧するムスリムもいると伝えている。
本記事で取り上げられたHizb ul-Tahrirは、1947年にイスラム法学者ナブハニにより、イスラム国家樹立とエルサレム解放を目的にヨルダンで結成され、現在ではイスラム諸国だけでなく、先進国でも広く活動を行っている(現在の拠点はレバノンといわれている)。一方、アラブ諸国、先進国の中にも、その活動を禁止している国も多い。同組織自体は武装闘争を否定しているが、イスラム法が施行されない地域を「戦争の家(ダール・アル・ハルブ)」と位置づけ、そこを「平和の家(ダール・アル・イスラム)」に変えることを義務付けている。このためイスラム世界での武装勢力に影響力が強い(ホームページも各国ベースで立ち上げている)。
同組織は、最近デンマークの若きムスリムにも浸透しているといわれており、ムハンマドの風刺漫画でデモが見られたトルコ、インドネシア、パキスタン、マレーシア、パレスチナ、レバノン、シリア等にも支持者がいる。また、Al-Ghurabaの指導者オマル・バクリ(シリア人)は、8月にイギリスから国外追放されており、現在はデンマーク大使館が焼き討ちされたベイルートに在住している。
なお、本記事では、この新法によりイスラム原理主義者が地下活動に入るのではないかとの見方も紹介されている。

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by cigvi | 2006-02-19 23:22 | 国際政治