複眼で見る中東報道


中東地域の報道を通し、国際社会の現状を複眼的に考えよう(地球村研究所)。研究所所長の 「水口章:国際・社会の未来へのまなざし」(http://blogs.yahoo.co.jp/cigvi2006)もご参照ください。
by cigvi
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諷刺漫画騒動の落としどころはどこ?

アハラム・ウィークリー電子版No.780(2006年2月2-8日)「風刺漫画の戦いは一層険悪に」を読んで:
同記事では、国際社会が大騒ぎをしている風刺漫画に対するエジプトのイスラム法学者の意見を紹介している。注目される点は、第1に、Abdel-Sabour Shahine師の見解である。同師は、イスラム世界で見られる暴力的行為について、預言者自身が初期のメッカ生活で攻撃を受けた折、寛容性を示し、結局反対者もイスラムの信徒となったことを挙げ、寛容と平和的な対話の重要性を説いている。第2に、イスラム世界の学問的権威であるアズハルのグランド・イマームが、「一般的に死んでいる人間を嘲笑することは受け入れ難い。とりわけ預言者に対しては」との声明を出し、ムスリム同胞団や今回の出来事に強硬姿勢を示しているイスラム教徒たちから、その姿勢の甘さを非難されたことである。
一方、イラクのシスターニ師も、風刺漫画を非難しつつ、ムスリムの暴力的行為はイスラムのイメージを傷つけるとのメッセージを、1月31日付で自身のウェッブサイトに出している(クウェイト・タイムズ電子版)。
レバノン、シリア、パレスチナ、イランなどにおける動向を見ていると、宗教問題というだけでなく、政治的意図がうかがえる。5日のアナン国連事務総長の声明も事態の沈静化には効果がないようだ。イスラム諸国会議(OIC)の事務総長であるEkmeleddin Ihsanoglu教授も、シリアやレバノンでの大使館焼討などの暴力行為を非難し、平和的な形での抗議をすべきとしている(シャルクル・アウサト電子版)。一体、誰が何の目的でこの状況をつくっているのだろうか。そして落としどころは?
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# by cigvi | 2006-02-07 23:46

イラクの国境は越えやすい

2月4日付アッザマン電子版「イラクとイランが工業協力協定」を読んで:
イラク・イラン関係では、シーア派イスラム法学者の人脈問題やイランのイラク内部への干渉問題が話題になる。その一方、両国の国境の物流や経済交流についての視点がおろそかになりがちである。同記事では、イランが、イラクの厳しい治安情勢にも関わらず工業協定を結んでくれたと紹介している。
イラク復興は、そのエネルギー資源からの収入で対応できると多くの者が考えていたが、現状(2005年末)の原油生産量は約200万B/D程度(前年比-22万B/D)で、2005年の平均輸出寮は約140万B/Dと見られている。そして、反政府勢力の石油施設へのテロ活動や技術者の誘拐が続く限り、増産や新たな石油資源開発は望めないと言われている(石油アナリストの中には2006年の原油生産量は170万B/Dとの予想もある)。
この中で、燃料価格の上昇はイラクの市民生活への打撃と直結するため、イラク政府が補助金を出して価格を抑えている。ところが、この補助金つきの安い原油をイランに密輸している者もいるという。人工的な国境を越えた地域の歴史的なつながりは、国家間でも個人間でも強いということか?
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# by cigvi | 2006-02-06 21:47 | 国際経済

イランにとってのハマス・カード

2月5日付ハアレツ電子版「ハマスはイラン、シリアとの結びつきを進める」を読んで:
2月4日、パレスチナ自治政府のアッバス議長はガザの議長府でハマス幹部と協議を行い、16日に評議会を開催することで合意した。この協議でハマスは、1月30日にロンドンで開催された中東和平の4者協議(国連、米国、ロシア、EUのカルテット)が提案した新パレスチナ自治政府への支援3条件(非暴力、イスラエルの承認、ロードマップを含めた過去の合意と義務の履行)について、明確な姿勢を示していないと報じられている。
さて、2月5日付のハアレツの記事では、このようなハマスとイラン、シリアの関係のみならずアル・カイダとの関係についても報じている。当然、イスラエル紙という観点から、この内容すべてを鵜呑みにするわけにはいかな。しかし、真偽は不明であるものの、レバノン南部からイスラエルへの攻撃(12月27日)についてザルカウィ容疑者を名乗る犯行声明(ビンラディンの指示による攻撃としている)が出されており、アル・カイダのザワヒリからザルカウィ宛の書簡(10月11日に米国家情報省が公表)ではイラク後のステップとしてイスラエルとの戦いが明示されている。イラン核開発への国際圧力との関係でこの記事を読むと、新たな反イスラエル武装勢力とイランとの関係が見えてくるのではないだろうか。これは、エジプト、ヨルダン、湾岸産油国にとってもあまり喜ばしい形ではないだろう。
エジプトをはじめアラブ諸国がどのようにハマスを説得し、ハマスがどのような現実案を出してくるのか、当面目が離せない。
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# by cigvi | 2006-02-05 21:58 | 国際政治

ヨルダンでの憲法解釈論議

2月2日付ヨルダン・タイムス電子版「論説:より広範な審議が必要」を読んで:
パレスチナ評議会選挙でハマスが勝利した時、アラブの新聞では、負の影響が懸念される国としてヨルダンが挙げられていた。ヨルダンは、人口の50%以上がパレスチナ人で構成されているが、1999年2月に国王に就任したアブドラ氏は、ヨルダン人としての国民意識を向上させたり、民主化に努めている。しかし、ヨルダンでもハマス同様のイスラム同胞団系によるイスラムに基づく政党結成の動きがある。
この記事では同問題を取り上げている。そのポイントは、イスラムを国教とする憲法第2条や思想と表現の自由を保障した第15条をもって、イスラム政党結成を合憲とする動きに対し、憲法8条(ヨルダン人は人種、言語、宗教の違いによらず平等)や市民と政治的権利に関する国際条約(ICCPR)の19条および20条を挙げて、宗教に基づいた政党が市民間の差別を鼓舞することになるのではないかと懸念を表明している点である。同記事では、この問題はヨルダンの政治思想のコアとなる事柄であり、じっくり議論する必要があるとまとめている。
中東の民主化については、外圧による民主化が話題となることが多いが、ヨルダンではこのようにイスラムやアラブへの帰属意識よりもまず「ヨルダン・ファースト」のもとで、地道に民主化を進める努力を行っている。しかし、昨年11月のアンマンでの連続テロ事件のように、イスラムの名のもとに過激な行動に手を貸す人々はこの国にもいる。アブドラ国王の慎重な舵取りは続く。
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# by cigvi | 2006-02-04 21:21 | 国際政治

イラクの武装勢力が出した難題

2月1日付 アッザマン電子版「抵抗勢力は米軍との話し合いを中止」を読んで:
イラクについて、「イラクの調和」(44議席)と「国民対話戦線」(11議席)のスンニー派アラブ2党と世俗派でアラウィー前首相が率いる「イラク国民リスト」(25議席)が共闘し、議会内の第2勢力となったというニュースや、アブドルラフマン新裁判長のもとでのフセイン裁判の様子が報道される中、「アッザマン」電子版が、米国と抵抗勢力との秘密協議の記事を掲載している。
この記事の注目点は、武装勢力が作戦中止の条件に以下の点を示していることである。どれだけの武装グループが協議参加したかは不明であるが、条件から見て、旧バアス党関係者のグループであると推測される。ザルカウィー等のイスラム過激派グループとの切り離し工作が水面下で行われていることが伺える(1月30日発売の「ニューズ・ウィーク」誌でも米情報当局とイラク武装勢力との水面下の直接交渉があったことが報じられている)。
(1)外国軍の撤退
(2)イラクの領土的統一の保障
(3)旧イラク軍の体制の復活
(4)国連の監視の下での普通選挙の実施
(5)外国の占領かでつくられたほうと規則の廃棄
(6)民兵の解散(特に南部地域)
それにしても、かなりの難問である。
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# by cigvi | 2006-02-04 20:25 | 国際政治

バッシャール・シリア大統領の苦労は絶えない

2月1日付ガルフ・ニューズ電子版「シリアの反体制派が戦略会合」を読んで:
同記事は、シリア反体制派がワシントンでの会合で、シリアの政治変化を1年以内に達成することを目標に合意したことを紹介している。
現在、シリアはハリーリ元レバノン首相暗殺事件をめぐり、国連決議1559号(2004年9月)、1595号(2005年4月)、1630号(2005年10月)、1644号(2005年12月)の履行を迫られている。その中で、バッシャール・アサド政権は、2005年6月の第10回バアス党大会を通し、政権内部を固め、ハッダーム副大統領をはじめとする古参の人々の影響力を排除した(昨年12月、この政権内からおろされたハッダーム氏がバッシャール政権を外国のマスメディアで批判)。バッシャール政権は国際社会から圧力を受けているが、逆にそれを求心力として政権基盤の更なる強化に努めている。
これに対する反体制派としては、(1)政権から排除されたハッダーム氏やバッシャールのおじのリファード・アサド氏のグループ、(2)クルド人グループ、(3)ムスリム同胞団、(4)民主化グループなどがある。こうした多様な反政府勢力がどれだけまとまって行動できるかは、あまりにも未知数である。その意味では、国連によるハリーリ元首相暗殺事件の調査の影響は大きい。それがバッシャール体制を政策転換の方向に導くことになるのか、はたまた同体制の政権転覆の契機となるところまで行き着くのか、注目したい。
それにしても、シリアは、イランの核開発問題やパレスチナでの評議会選挙でのハマスの勝利によって、国際社会の冷たい視線の矛先が同国からそれ、一息ついていることだろう。そんな時にこの記事が出るとは、シリアにとって何とタイミングの悪いことだろうか。
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# by cigvi | 2006-02-03 09:22 | 国際政治

ハマスは米国の助けで選挙に大勝?

1月31日付シャルクル・アウサト電子版「ハマスの勝利は米国の外交の結果-サウジの報告書」を読んで:
同記事は、Sausi National Security Assessment Project (SNSAP)がパレスチナ評議会選挙を前にして、ハマスの勝利を予想した機密報告書を出していたことを紹介したものである。その内容のポイントは、米国はイスラエル支援や、ハマスをテロ組織と決め付けパレスチナの視点からの現状認識が欠けており、アッバス長官への支援が十分でなかったことが、ハマス勝利の要因となったと指摘している点だ。
ここにあるように、米国のパレスチナ支援は本当に不十分だったのだろうか。現状の支援ルートとしては、(1)直接支援、(2)USAID、(3)国連があり、2006年度で総額2億3400万ドルが予定されている。また、ブッシュ政権はパレスチナ国家の樹立を表明しており、国連、ロシア、EUとともに「カルテット」として中東和平プロセスを推進しようとしている。
むしろ今回の選挙結果を導いた要因は、ハマス陣営に関しては(1)日常の慈善活動、(2)地方行政の実績、(3)選挙広告の専門家の導入(テレビ、ラジオ戦略)、(4)候補者の絞り選定の成功等が挙げられる。一方、ファタハの敗因は、(1)内部対立による立候補者の乱立、(2)長期にわたる腐敗構造等が挙げられる。
パレスチナ地域の生活は確かに厳しい。しかし、アフリカ地域の紛争による難民の人々の生活のほうがはるかに厳しいことは、国際協力学や国際開発学の視点で見れば、言うまでもない。ことさら、パレスチナ地域の経済事情の悪さを強調するならば、なぜ、石油価格が60ドル台の高値で張り付いて、のきなみ石油収入を拡大している湾岸産油国が同地域への投資を行い、雇用を促進させないのだろうか。
このような記事を読むアラブの人々は、やはり「米国は中東を分かっていない」と思うのも無理はない。なお、シャルクル・アウサトはサウジ資本のメディアである。
蛇足だが、同日付ガルフ・ニューズ電子版でも、ハマスの選挙戦での勝利は、米国のシャロン氏への無制限の支援がパレスチナ人の中に反米感情を育てたことが要因、との記事が掲載されていた。やれやれ。
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# by cigvi | 2006-02-02 22:47 | 国際政治