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複眼で見る中東報道


中東地域の報道を通し、国際社会の現状を複眼的に考えよう(地球村研究所)。研究所所長の 「水口章:国際・社会の未来へのまなざし」(http://blogs.yahoo.co.jp/cigvi2006)もご参照ください。
by cigvi

注目ヘッドライン-電子版より

●4月3日付ヨルダン・タイムズ「ザルカウィーがイラクでのレジスタンスの指導者からはずされる」:  イラクでのレジスタンスにおいて、ザルカウィーが政治指導者からはずされ、軍事的役割を果たすのみとされた、とアッザム氏(同氏の父親のアブドゥッラー・アッザム氏はビンラディンの師であった人物で、パレスチナのムスリム同胞団の創設者でもある)が2日、ヨルダンでAFPに語った。アッザム氏はイラクの武装勢力と緊密に接触していると言う。同氏によると、ザルカウィーはいくつかの失敗を犯したため、数週間前にイラク人のアブドゥッラー・ビン・ラシド・アル・バグダディーと交替させられた。しかし、ザルカウィーは軍事的には現在も強力であると言う。
●4月3日付ハーレツ「イランが、安保理は核の議論を悪化させる危険を冒していると国連を脅す」:  イランのIAEA大使が2日、CNNの番組で、国連安保理が先週、イランにウラン濃縮作業を停止するよう求める議長声明を採択したことは、軽率であるとし、安保理が関わるほど状況は悪化し、対立が避けられなくなると述べた。一方、イランは同日、ソナーの探査を回避できる高速の水中ミサイルの試射に成功したと表明した。また、ヨーロッパの外交筋によると、イランは核弾頭搭載可能なミサイルの開発を進めているという。<参考記事:2日付アルジャジーラ「イランが最速の水中ミサイルの試射を実施」>
●4月2日付アルジャジーラ「トルコで新たな攻撃」:  3月28日のクルド人分離主義者の葬儀以来トルコ南東部のクルド地域では暴徒と警官による衝突で緊張が高まっている中、2日イスタンブルでバスに火炎瓶が投げられ、3人が死亡した。一方、トルコが加盟を熱望しているEUは、事態のなり行きを慎重に見守っている。
●4月3日付ハーレツ「欧米の制裁を恐れて、アラブの銀行がPAに口座閉鎖を求める」:  パレスチナ自治政府(PA)が口座を開いているアラブ人経営の複数の銀行(世界中に多数の支店を持つ大規模銀行も含まれる)が、PAに対し預金を引き上げるよう求めはじめている。これは明らかに、テロリストの資金を預かっているとして欧米諸国から制裁を受けるのを恐れてのことである。ハマス政権は、アッバス議長が外国から集める人道支援、イランの援助、予算削減によって少なくとも今後数ヶ月は経済的に持つと言われている。なお、故アラファト議長が外国の銀行に保有していたPAの資金(数億ドルと言われている)の所在は明らかでない。

<こぼれ話>
イラク関連では、イラク訪問中のライス米国務長官とストロー英外相がイラクの指導者たちに政権樹立への圧力をかけている。この件に関し、ストロー外相は、米英は多大なコストをかけてイラクを解放したのだから、イラクに対し早急な政権樹立を求める権利があると述べたとアルジャジーラが報じた。一方、イラク紙アッザマンは、日本がサマワで1億1900万ドルの電力プラントを建設しており、住民は喜んでいると伝えている。サッダーム裁判については、数日後に判事が新たな罪状(1980年代の数千人のクルド人殺戮と強制移送)を提出するとアルジャジーラが報じている。パレスチナ関連では、PAのサイド・シアム内相が2日、ガザの混乱を収拾するためイマームたちや暴徒たちと接触しているが、暴力的混乱を収めるには、1年とは言わないが数ヶ月かかるかもしれないと述べた。一方、ハーレツによると、イスラエル軍ラジオが、フランスはここ2,3週間、低いレベルでハマスと協議し続けている、また、イスラエルは中国、インド、日本を含むいくつかの国はすぐにでも公式にハマス率いる政府を承認するだろうと危惧していると報じた。エジプト関連では、権威あるイスラム法学者が先週、家庭内で彫像などを飾ることは禁じられているとのファトワを出したことで、同国の歴史的遺産が破壊される可能性もあるとアルジャジーラが報じた。湾岸地域関連では、GCCとEU間で5月にFTAが署名される予定である。また、サウジのスルタン皇太子(副首相兼国防相)が5日より、日本、シンガポール、パキスタン訪問を開始する。

by cigvi | 2006-04-03 21:23 | 注目ヘッドライン
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